旧藩主の息女に生まれ松方財閥に嫁ぎ、四十歳で作家獅子文六と再婚。夫、文六の想い出と天女のような純真さで爽やかに生きた女性の半生を語る。

内容(「BOOK」データベースより)

旧藩主のお姫様に生まれ、上流社会で裕福な少女時代を過ごすも、松方財閥に嫁いだ最初の結婚では不慮の事故により夫との死別を経験。戦後、独身生活の中ではじめての会社員生活を送った。39歳のとき知人を介し獅子文六と再婚。人気作家の晩年を支えた。天女のような純真さと爽やかさ、天真爛漫でユーモラス、まるで獅子文六作品の登場人物のような女性の自伝的エッセイが甦る。



ごきげんよう、えぞしまです。



最近、ちくま文庫から獅子文六作品が次々と復刻しています。

とにかくいい、面白い、と評判は聞いていましたが、長らく絶版で読むのも難しい状況でした。
手軽に読めるようになったのは、喜ばしいことです。


さて、今回ご紹介するのは、
その獅子文六のお嫁さんのエッセイ。


ちなみに2人とも、初めての結婚ではありません。お互い、お相手を亡くされています。


獅子文六の三人目の奥様が、この本の執筆者です。このお嫁さんが大変な苦労人です。


生まれは明治。旧藩主のご息女。
幼い頃は文化的な生活をされていたようで、親戚や知り合いもすごい人ばかり。
しかも、松方財閥に嫁ぎます。
まさに、お姫様(おひいさま)のような人生。

なんて書くと、何不自由なく過ごしたんだろうと思うでしょう。
ここからが大変。


なんと、ご主人が結婚3年で亡くなられます。
さらに、戦争で大変な目にあいます。
おひいさまどころではありません。食べ物だって着るものだって、満足にないんです。

おひいさまだけど、お勤めにも行きます。
今なら、女性がお勤めに出るなんて珍しくないですが、当時は今よりも働きにくい状況だったでしょう。
もしかしたら、今も?


次に嫁いだ獅子文六だって、一筋縄ではいかない相手です。
いつになく優しいこともありますが、御膳を庭に投げるような、今で言うDVなんかもしています。
あんなに楽しい小説を書く人なのに意外だと思うけど、当時はそれが普通だったんだろうか。
とにかく勝手気ままな人物だったようです。

著者も負けじと言い返していたようで、自分のことを悪妻だと言っています。
しかし、どんなに辛くてもどこか呑気で楽天的な著者でなければ、獅子文六の妻は務まらなかったでしょう。


鋭い目で今を見てほしいけれど、見せられないような事件が次々と起こっているので、この世から去ったほうがよかったかもしれない、なんて。
やいのやいの言ってても、絆は確かですね。


天真爛漫でユーモラス、まさに獅子文六作品のヒロインとして出てきそうなキャラクター。
きっと作品にも影響を与えたことでしょう。
本人は文学わからず、それでも筆をとったということだけど、その一つ一つが貴重なエピソード。
なので、取りこぼすまいと思いながら読んでしまいます。