ごきげんよう、えぞしまです。


この記事は、
検索技術者検定の受験勉強をしている人や、
よきインフォプロを目指す人に向けた内容となっております。

今回は、
インパクトファクターについて勉強していきます。

インパクトファクターは、
大学の先生でさえ勘違いしていることがあります。
よきインフォプロとして、
そういった勘違いを正し、
より確かな情報源へと繋げていくことが、
とても大事と言えます。

まずは、
インパクトファクターの基本を押さえておきましょう〜!













過去問を見てみよう

検索技術者検定でも、インパクトファクターは登場しています。
ちょっと過去問を見てみましょう。



【1】 以下は大学図書館において購入する
学術雑誌のタイトル選定に関する会議での大学教員の発言である。
これを踏まえて以下の設問に答えなさい。
大学教員Aの発言
「図書館で購入する学術雑誌については、
各分野とも一部の基本的な学術雑誌(コアジャーナル)のみ購入すればよいのではないか。
もともと特定主題の論文の殆どは、少数の主要雑誌に 掲載されるものだし。
それに最近よく聞くインパクトファクターを用いれば、
論文の優劣まで も判明するのだから、
インパクトファクターの数値さえ解れば、
どの学術雑誌を購入するかについて頭を使う必要はないだろう。」

(1)上記の発言のうち、あなたがインフォプロとして指摘すべき誤りについて説明しなさ い。 (2)インパクトファクターについて説明しなさい。
(3)引用文献索引を行っているデータベースを4つあげなさい。
但しそのうち一つは和雑 誌を対象としたデータベースをあげなさい。
(4)下線部に関連する計量書誌学(ビブリオメトリックス)での法則名と
その内容について述べなさい。

(検索技術者検定 2014年度 1級 前半問題より抜粋)


ちなみに、
過去問はこちらにのってますよ~。






問題を読んで、
「え、何か間違ってるの???」
と感じた人もいるかも知れませんね。


ちなみに、
解答例は会誌『情報の科学と技術』の第65巻(2015) 10号に掲載されています。





せっかくですから、
いきなり答えを見るのではなくて、
調べたり考えたりしてから見るといい感じだと思います。


インパクトファクターって何?

まずは基本です。
インパクトファクターとはなんでしょう???


引用文献検索ができるデータベースとして代表的なもののひとつに、
Web of Science(ウェブオブサイエンス)があります。

それを提供している、
クラリベイト社のホームページを見てみましょう。







インパクトファクター(文献引用影響率)とは

特定のジャーナル(学術雑誌)に掲載された論文が
特定の年または期間内にどれくらい頻繁に引用されたかを平均値で示す尺度です。
これはクラリベイト・アナリティクスの
Journal Citation Reports(JCR)が備えている評価ツールの 1 つです。
毎年Journal Citation Reports が公開するインパクトファクターは、
被引用数と最近出版された論文との比率です。
特定のジャーナルのインパクトファクターは、
対象年における引用回数を、対象年に先立つ 2 年間に
そのジャーナルが掲載したソース項目の総数で割ることによって計算します。



先ほど紹介した検索技術者検定の過去問ですが、
教員はこのへんの話を聞きかじったんだと思われます。


インパクトファクターは実際によく使われていて、
「自分の論文がインパクトファクターになるか」とか、
「自分の所属先でいかにインパクトファクターを出せるか」を、
すごく気にする人もいるかと思います。


でも、ちょっとまって!

実はインパクトファクターの説明はこれだけじゃないんです!!!


インパクトファクターよくある勘違い

過去問に登場する先生もそうですが、
インパクトファクターってけっこう誤解されやすいんですよね。

再び、クラリベイト社のサイトを見てみましょう。


4. インパクトファクターで論文や研究者、大学などを評価できますか?
個人や大学・研究機関ごとの業績を示すためには、
出版された論文の掲載ジャーナルのインパクトファクター値を単純加算すればよいのですか?

インパクトファクターはある特定の一年におけるジャーナルの影響度を示す尺度であり、
特定の論文や個人の研究業績を評価するための指標ではありません。
したがってインパクトファクターを単純加算しても、
個人や研究機関の業績を客観的に示すことはできません。
むしろ、ジャーナルあたりの平均的な尺度であるインパクトファクターを用いた場合、
優れた研究業績を過小評価してしまう恐れがあります。


はい、
ここよく読んでください。



「インパクトファクターは
ある特定の一年における
ジャーナルの影響度を示す尺度であり、
特定の論文や個人の研究業績を
評価するための指標ではありません。」



そう、

インパクトファクターは、

特定の論文や個人の研究業績を
評価するための指標じゃなかったんだよ!!!!!!!



さらに、クラリベイト社のFAQを見てみると、

「インパクトファクターはジャーナルを格付けし、
絶対的な質を決定する指標ではありません。」だとか、

「インパクトファクターはある特定の一年におけるジャーナルの平均被引用数です。
研究分野について評価しているものではありません。」だとか、

詳しく説明がされています。


これ、ちょっと考えたらわかることで、
たとえば日本の法律研究者は、とうぜん日本語で論文を書きます。
だって、外国の法律研究者が日本の法律の論文を引用するって、
あまりしないですよね???
比較法学とかならわからなくもないですが、
理系分野と比べたら、国際的な引用って考えにくいですよ。


Web of Scienceって英語論文がメインだから、
日本語で書かれた論文をうまく評価できないんです。
しかし、研究分野によっては、
英語で発表してもあまり意味がない場合もあります。


歴史とか国文学なんかもそうですよね。
日本がテーマだったら日本語で論文を書くでしょうし、
外国の日本史・日本文学研究者は日本語を学ぶだろうから、
日本語で論文を書くのは当然のことです。


英語で発表して、
多くの人に読んでもらってなんぼ…
というのもわかりますが、
そういった考え方がなじまない分野も
たくさんあります。

そして、
なじまないからといって
「この分野は研究する価値がない」というのは、
インパクトファクターに振り回された
めちゃくちゃな理屈だということがわかりますよね?


論文の引用されぐあいとか、
研究の進め方だとか発表のやり方というのは、
分野によってものすごく違いがあります。

それを、インパクトファクターという一つの指標でどうこうするのは、
無理があるというものです。


ちなみに、
日本数学会というところが、
「数学の研究業績評価について」という理事会声明を出しているんですけど、
そのなかでインパクトファクターについて、

「サッカーの選手と野球の選手の価値をその選手が取った得点で比較するようなものであり、ほとんど意味がない」

とコメントしていて、
例えがうまくて思わず唸りましたね!

PDFはこちらです

“数学の研究業績評価について”. 「数学通信」第8巻 第3号. 社団法人 日本数学会 理事会 (2003年)



インパクトファクターそのものは、
ジャーナルや論文の影響力を調べるときに使える
便利な指標です。

でも、インパクトファクターが高いからいいとか、
逆に低い場合は価値がないといった、
単細胞的思考では活用できない指標でもあります。
単細胞人間にはインパクトファクターは早すぎたんだ…。


というわけで、

インパクトファクターにふりまわされない!

ということを、
インフォプロを目指すみなさんはおさえておきましょう。


まとめ

  1. インパクトファクターは、特定のジャーナル(学術雑誌)に掲載された論文が特定の年または期間内にどれくらい頻繁に引用されたかを平均値で示す尺度
  2. あくまでも、ある特定の一年におけるジャーナルの影響度を示す尺度なので、特定の論文や個人の研究業績を評価するための指標ではない
  3. 誤解している人が多いので、正しく説明できるようになっておく必要あり

インパクトファクター、実は地味に
3が重要なんじゃないかと思っているんだけど、どうでしょう?????



インパクトファクターを、
誤解のないように説明できるようになっておきましょう。
めざせ、インフォプロ!