ごきげんよう、えぞしまです。

角川文庫カドフェス2018から、今回はこの本をご紹介。

内容(「BOOK」データベースより)

江戸時代、ある晴天の日、街道沿いの茶店に腰かけていた浪人は、そこにいた、盲目の娘を連れた巡礼の老人を、抜く手も見せずに太刀を振りかざし、ずば、と切り捨てた。居合わせた藩士に理由を問われたその浪人・掛十之進は、かの老人が「腹ふり党」の一員であり、この土地に恐るべき災厄をもたらすに違いないから事前にそれを防止した、と言うのだった…。圧倒的な才能で描かれる諧謔と風刺に満ちた傑作時代小説。


まず、言語センスがすごいです。
シュール。言葉だけでシュールな世界観を出している。これはすごいぞ。

それでいて、現代社会の風刺が詰まっているんです。
これはふざけているけど文学だ。


あっ、ネタバレあるので念のため続きに書きます〜。
とてもシュールな言語センスのため、物語にパワーがあり独特の世界観を生み出せています。

侍たちが現代のビジネスマンのような話し方をしたり、猿が人語を解して喋ったり、人も小学生男子がふざけて「はい死んだ〜」みたいな感じで死んでいったりします。
これ、普通なら疲れます。めちゃくちゃ読んでて疲れてくる世界観です。


しかし妙にパワーがあるので読んでしまうんですよね。
読み終わると一汗かいた感じすらしますからね。爽快。


正直、冒頭の盲目の少女がろんというのは何となく気づけるし、最後にろんが掛を手にかけるのも読めたんですが、
「ああ、これで現実に戻れるんだな」と思いました。


とにかくめちゃくちゃな世界観なんだけど、現代社会を思いっきり風刺している。
男どもが馬鹿な理由で馬鹿なことを生み出し、なんの利益ももたらさないけど仕事した気になる。

みな命がけで必死で戦って死んでいるんだけど、側から見るとふざけているようにしか見えない。
死んでも小学生男子のような気持ちにしかなれない。はい死んだ〜あはは〜みたいな。

馬鹿が馬鹿を呼び、収集がつかなくなる。
馬鹿は何も知らずに死んでゆく。


有能なのは猿だけ。
最後にガツーンと殴って、現実を見せるのはろん。



「どう?シュールでしょ?」という自意識過剰な物語じゃなくて、パンチが効いた文学のように思います。

綾野剛が表紙だったので、即買いしてしまいましたが、ちゃんとした作品で意表を突かれてしまいました。


こりゃ映画も面白そうだな〜。