ごきげんよう、えぞしまです。


話題の韓国映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』を見てまいりました。


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『タクシー運転手 約束は海を越えて』公式サイト



見終わったあと、しばらく放心してしまいました。めちゃくちゃ良かったから。
韓国映画、スゴイ。



日本人は、「デモ」と聞くと、

なんでデモなんかやるの?意味あるの?
デモなんか参加するから痛い目にあうんでしょ。
デモに参加するなんて暇人?
デモなんて反社会的!参加するのはイかれてる!

と、とにかく否定的。


とくに、政府への批判をする人や、政府からの弾圧を恐れる人には冷たいです。


何もしなければ弾圧なんて受けないでしょ?
普通に過ごしていれば、怖い思いなんてしないでしょ?


この映画は、そんな平和ボケした脳にガツーンとくる内容です。

ほのぼのと過ごしている、なんの関係もない無抵抗の市民が、歴史の渦に飲み込まれることがあるんだとわかります。


日本ではこんなこと起きない?
韓国の人もそう思ってたでしょうね。



以下ネタバレあります。
最近、日本でも愛国の人たちが増えてきていますね。
中には、国民に人権はいらないとか、日本で民主主義なんておかしいとか、実にユニークな愛国心をお持ちの方もいらっしゃいます。


国に身も心も尽くす。
そんな彼らにも銃口を向けるのが弾圧なのです。


映画の序盤で、マンソプが学生のデモを見て冷ややかなコメントをしています。

韓国はとても住みやすい国、デモをするために大学に入ったのか?

多くの日本人が、マンソプのようなスタンスですよね。
デモに参加する人は、意識が高くて頭がおかしい人。とにかく変わった人たち。
マンソプだけではなく、当時の韓国人はそういう意識だったんでしょう。



マンソプが光州で出会った人たちは、みな市井の人たちです。
ジェシクだって、歌謡が好きな普通の大学生、どこにでもいる若者だったんです。
なのに、あんな恐ろしい目にあって、死んでしまった。

テスルを始め、協力してくれたタクシードライバーたちも、どうなったかわかりません。
おにぎりをくれた人も。広場に集まって活き活きとしていた、光州人たちも。



頭のおかしい人なんて、いましたか?
意識が高いだけの人はいましたか?
本当の意味で反社会的な人はいましたか?



いませんでしたよね。
それでも銃口を向けられ、傷つき死んでいったんです。
国歌斉唱に対して敬礼しても、撃たれたのです。


そして、それは正しく報道されない。
誰もがニュースを信じる。
誤解されたまま、市井の人たちが歴史の渦に巻き込まれていって死んでゆくんです。


それでも、「デモに参加するなんて変な人」といいますか?
日本では、こんなことにはならないと思いますか?
何度も言いますが、多くの日本人が序盤のマンソプと同じ状況です。

あるいは、マンソプがうどんを食べた店の人たち。ニュースを信じて疑いません。知り合いが見たという話を聞いているのに、「ニュースで報道されたから」と信じきっています。
自分で「おかしいな」と感じ、考えることすらしないのです。


その陰で多くの人たちが弾圧されていく。
その人たちは決して不良なんかじゃありません。市井の人たち、無抵抗で非武装の、一般市民です。


車のトランクにソウルナンバーが隠されているのを見つけて、見逃した兵士。
きっと今の状況は何かおかしいとわかっていたんでしょう。
兵士にしておくのはもったいない慧眼の持ち主です。


アイヒマンのように、自分の頭を廃棄して、指示にひたすら従うか。
杉原千畝のように、自分の頭と心を信じるか。
どちらに未来があるかは明白です。


韓国は、日本よりも民主主義の歴史は浅いです。しかし、民主主義が成熟する基盤は元からあったんじゃないでしょうか。


いや、だから日本はダメだという話ではなく…。
いつまでも平和ボケしたことを言っている場合じゃないですよ、と言いたい。




それにしても最後の映像、なんだか忘れられない。
言葉に詰まっていたんだもの…。
結局運転手と再会できなかったというオチも哀しくてツライ。
死んでしまったのか、あるいは関わりたくないのか。
映画の続きを見ているようです。いや、現実そのものが映画の続きなのか。

映画に出てくる人たちに、
おにぎりをくれた人や、タクシードライバーたち、何よりジェシクに、
「あなたたち和平の道を切り開いてますよ、特に2018年に注目!」と教えたいな。