前編はこちら


2018年4月28日15時46分。
泉駅を出発する。

いわき駅で乗り換え…って、え、これ特急!?

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元特急車両ですが、普通料金で乗れます。
ああ、びっくりした。


元「スーパーひたち」の車両が普通列車に 常磐線で7月から JR東日本


元特急車両ということもあり、非常に快適。
仙台に着くのは19時半だし、まだまだ先は長いのでありがたい。
持ってきたビスケット、グミ、チョコレートなど、思い思いの菓子を食べて腹を満たしくつろぐ。


ゴールデンウィークだけど、人は少ない。
地元の高校生たちが乗り込んできては降りてゆく。

帰省に来た、という感じの人もいないし、電車に乗るのが好きな鉄道ファンもいない。
ひたすら地元の人だけが淡々と乗り込み、降りてゆく。

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海が見えた。


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つつじが咲き乱れる、ロマンティックな駅。


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日がゆっくりと傾いてゆく。


富岡駅着。
ここで代行バスに乗り換える。
路線バスみたいなのではなく、やたら立派な観光バス。しかも添乗員さんもいる。

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東日本大震災による列車影響と運転見込みについて(JR東日本水戸支社)


JR常磐線は、2011年東日本大震災の影響により、2018年4月現在も一部区間不通となっている。
その区間は代行バスが運行しており、途中帰宅困難地域も走行する。
バスに乗っている間は窓を開けないように、と添乗員さんから注意がある。少し緊張が走る。


ふくしま復興ステーション

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ゴールデンウィークだけど、バスに乗っている人は少ない。
けれど、全然いないわけじゃない。
みんなどこに向かうのだろう。


富岡駅周辺には、やたら真新しい家が立ち並んでいた。

車も意外と走っている。
あちこちにゼネコンの看板がかかっているから、きっと関係者だろう。
駅前にはホテルまであったが、関係者のために急遽作ったのかもしれない。

でも誰も歩いていない。
人はいるはずなのに、気配はない。

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途中でかわいい建物を発見。
幼稚園か保育園だろうか?
子どもたちの声が響くのはいつ頃か。


車は走っているけど、人っ子ひとり歩いてない…と思ったら、帰宅困難地域は好き勝手に歩いちゃいけないらしい。
自転車や二輪車もNG。
どうりで人の気配がしないと思った。
復興しつつあるけれど、まだまだ線量は高いんだな。

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▲ふくしま復興ステーションより引用

少し走り出すと、風景が変わってくる。
しかし相変わらず人の気配はない。
車だけがすれ違っていく。

途中、原発らしきものも見えた。
目と鼻の先じゃないか。
緊張感がさらに高まる。


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除染作業は地道にやるしかない……。

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郊外型店舗の面影。

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どの建物も柵で塞がれている。

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ここも柵。

あ、民家がある!と思ったら、
入り口は網状の柵で塞がれていた。
今にも家から人が出てきそうなのは、一時帰宅の時に手入れしているからだろうか?

逆に、店舗の方は看板を外されて、壁や窓が補修されることもなく完全に打ち捨てられている。
スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、レンタルショップ、コンビニ。おなじみのお店が廃墟になっている。
従業員のかお客さんのか、とめてある車もそのまま。
中古車販売店には中古車が、相変わらず陳列されていた。あの時のまま、時間が止まっている。

まるでSFのような非日常空間だ。
だけど、これは誰かの現実であり日常なんだ。


帰宅困難地域を抜けると、
警察署や浪江町役場が現れ、その側にはコンビニが営業していた。
警察官や公務員の人が、このコンビニを頼りにしているんだろうな。
コンビニの人、役人の人、そしてバス会社の人、みなさんおつかれさまです。


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浪江駅に到着。


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浪江駅前はひっそり。
もう夕暮れどき。


浪江から原ノ町、また乗り換えて仙台駅に向かう。今回の旅のラストスパートだ。

車窓から見える田園風景も暮れなずみ、やがて真っ暗になると、景色は何も見えなくなってしまった。


1時間半の時間を潰すため、獅子文六を読む。
話が面白くなってきて、時間は過ぎていく。


仙台駅に近づくにつれ、人が増えてくる。
人が生活している、というのが感じられるようになってくる。
乗客が乗って降りてを繰り返し、窓の外にも灯が増えてくる。

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長かった……。
お尻がランブータン。


昼間は快晴で過ごしやすかったけれど、さすがに夜になると肌寒い。
周りを見たら、みんなスプリングコートを着ていた。こんなに薄着なのは私たちだけだ。


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せり鍋で暖まる。

鶏せせりの出汁が効いていて、香り豊かで美味しい。
旬のいい時期に食べられて良かったな。


震災後、被災地に観光で訪れて復興支援する、というのはよく聞くが、
今回訪れた地域は観光も何も、それどころじゃなかった。
自由に歩き回ることすらできない地域だし、お店は廃墟、人は全然住んでいない。

ご飯を食べて買い物して宿泊して、という復興サイクルに全然乗れない。
スルーっと通り過ぎるしかなかった。

大震災と原発事故から何年も経っても、未だにそういう地域もあるのだ。
観光どころじゃない、復旧すらままならないような地域。


復旧の力にはなれそうもないけど、今回それを知ることはできた。
そこだけは良しとしよう。



以下参考までに。

【JR常磐線竜田駅~原ノ町駅】原発地帯を繋ぎ止める代行バス

2016年に訪問した記録。めちゃくちゃ詳しい。
この時は竜田駅〜富岡駅も不通だったのか。


常磐線 帰宅困難地域を通り抜けて

こちらは2017年。
浪江町の様子のレポがあります。


時間をかけながら少しずつ復旧しているんだな。