説明

本と版画美術への愛から生まれた自分だけの蔵書のしるし、「蔵書票」。その歴史、具体的な制作法、蔵書票作家を紹介するミニ事典、さらに、つきない魅力を存分に語るエッセイから、西欧のエロティックな逸品・美しいお宝作品紹介まで、至れり尽くせりの蔵書票入門。小版画図版一四〇点収載、超お買得。本好き、愛書家、読書人、待望の一冊。


ごきげんよう、えぞしまです。



突然ですが、
みなさんは蔵書票をご存知ですか?

蔵書票(ウィキペディア)



東洋の紙は、主にコウゾやミツマタなどの植物で作られました。
要するに和紙。触ってみるとわかるのですが、フカフカしています。布のような手触り。
フカフカしているので、スタンプマットなしでもハンコが捺しやすい。


なので、東洋では蔵書印が発達しました。
書物に直に印を捺すことによって、
その書物が誰のものか、どこに所属しているか、わかるようにするのです。

蔵書印(ウィキペディア)


これに対して、
西洋の紙は羊皮紙でした。
西洋の人たちは、肉をめちゃくちゃ食べるので、皮が余る。その廃材利用ということもあって、羊の皮で紙を作りました。


羊皮紙って何なの?ー羊皮紙工房


羊皮紙、触ったことありますか?
何というか、光沢紙に似ています。
つるつる滑る感じ。

ちなみに、加工にものすごく手間がかかるので、革っぽさは皆無です。
もうね、本当に光沢紙。
何だったら写真とかプリントしちゃう?くらいの。


こういったつるつるした紙には、
蔵書印は捺しづらいのです。
フカフカがないので。

なので、西洋では
蔵書票と呼ばれる小さな札のようなものを作り、書物に貼りつけることで所有者を表したのです。



蔵書票を実際に作ったというレポートを発見!

あなたの愛読書に素敵なエクス・リブリスを!
素敵な蔵書票の作り方(スチームパンク大百科S)


この蔵書票、
本来なら所有者がわかればそれでいいわけですが、
こういったところに妙にこだわるのが粋ってもんですよね!!
そんなマニアックな世界が、この本の中には広がっています。


蔵書票の歴史という軽いジャブから始まり、自分で作るときの方法。そして、あらゆる蔵書票作家と、彼らに蔵書票を発注するときのエピソードの数々。

海外の作家に頼んだら、やりとりにすごく時間がかかるし、名前を間違えられてさらに時間がかかるし、
とにかく気長に待つしかない。

出来上がったものが想像以上に美しいと、これまでの時間が報われるというわけ。

蔵書票は小さいけど、
そこに込められた意味は深くひねりがあり、
ただ美しいだけではない、奥行きのあるストーリーが隠されています。


書物そのものではなく、蔵書票を探し求めて、
あちこちの古本屋を巡るお客さんもいるくらいですからね。

そう、
蔵書票そのものに価値があることもあるのです!

とくに有名な収書家の蔵書票ならば、
その本の価値はお墨付きということ。
蔵書票がついていることによって、
書物の価値があがることも!


蔵書票は、持ち主が書物に対して持つ
愛情の証みたいなものです。
蔵書票をつけられた書物たちは、
持ち主に愛され、大事にされていたということ。


この狭くて深い世界を、
ほんのすこしだけのぞける一冊となっております。