ヨイ豊 (講談社文庫)
梶 よう子
2017-12-15



内容紹介

元治2年(1865)如月、清太郎の師匠で、義父でもある三代豊国の七七日法要が営まれる。三代は当代きっての花形絵師。歌川広重、歌川国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた。すでに広重、国芳を亡くし、歌川の大看板・豊国が亡くなったいま、誰が歌川を率いるのか。版元や絵師、公演者たちなど集まった弔問客たちの関心はそのことに集中した。清太郎には義弟の久太郎と、弟弟子の八十八がいた。久太郎は清太郎と同じく、門人から婿養子なった弟弟子。そして八十八は、清太郎より歳が一回りも下の弟弟子。粗野で童のような男だが、才能にあふれている。八十八が弟子入りしてすぐに三代はその才能を認め、挿絵を大抜擢で任せたりしたものだ。かたや清太郎が三代に褒められたのは、生真面目さしか覚えがない。その上、版元たちからは、三代の通り名「大坊主」を文字って、「小坊主」と呼ばれる始末。いったい、誰が「豊国」を継げようものか。清太郎は、苦い振る舞い酒を口へ運んだ──黒船騒ぎから12年が経ち、京の都には尊王攘夷の嵐。将軍さまは京に行ったきりと、徳川の世は翳りはじめていた。時代のうねりの中で、絵師たちは何を見、何を描き、何を残そうとしたのか!

内容(「BOOK」データベースより)

黒船来航から十二年、江戸亀戸村で三代豊国の法要が営まれる。広重、国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた大看板が亡くなったいま、歌川を誰が率いるのか。娘婿ながら慎重派の清太郎と、粗野だが才能あふれる八十八。兄弟弟子の二人が、尊王攘夷の波が押し寄せる江戸で、一門と浮世絵を守り抜こうとする。


江戸から東京に移り変わる頃……。
時代の流れに抗うように、意地を張って生きる浮世絵師たちの物語です。


江戸時代ならでは、なんですが、
昔の男の人ってたくさん名前を持ってるんですよね。
あるいは、人生で4回名前が変わるとか。
(幼名、元服したときの名前、先祖代々当主が受け継ぐ名前、引退後の名前など)


人によっては雅号やら何やら持っていることもあるので、
しかもその名を受け継ぐこともあるので、
小説だと誰の話をしているか、混乱してしまうんです。

漫画やドラマだと、顔を出せるのですが。
なので、誰が誰やら、ちとわかりにくかったです。

江戸時代の人も、名前で混乱してたのかな?

人物の特徴や動きで、見分けがつくと良かったな〜と。


ストーリーはとてもヨイです笑
変えられない時代の流れ、それに抗うように意地を見せる。
しかし、風情と人情と粋だけじゃ生きていけない。世界中にばら撒かれた浮世絵のように、紙になって飛んでいく……。


燃え尽きようとも魂をぶつける、
浮世絵師たちの思いが熱くて良かったです。


熱いものもあるんだけど、
諦念みたいなものもどこかであって、
想いだけが幻のように残っている。


時代劇に出てくる江戸ではなく、
生活している人の息づかいが聞こえてくるような、
市井の人たちが時代に飲み込まれつつも、
いつもと変わらず、人によっては服を着替えるように生活を変えてみて、
これからの日常を送ろうとしている、
そんなリアルな時代小説です。