ごきげんよう、えぞしまです。



みなとみらいの本屋さんで、
崎陽軒のシウマイカバーの『やっさもっさ』を発見!
東横線ユーザーは読んだほうがいいよ。


やっさもっさ (ちくま文庫)
獅子 文六
筑摩書房
2019-12-10



アマゾンのは通常表紙だけど、
本屋さんで見かけたらぜひシウマイ装幀を手にとってほしいです。



さて、この話は横浜が舞台。
北海道から上京して横浜に住み着いた私にとって、
読まないわけがない作品です。


舞台は横浜。
戦後の混乱が未だ残る中、孤児院を運営する亮子。
才気に満ちた彼女は、孤児院運営を精力的に行っていました。

しかし、夫の四方吉は、
戦争から帰還したものの、虚脱性になってしまい、
無為徒食の生活を送っていました。

なんともデコボコで、不思議な夫婦。
そこに、文芸評論家や婦人活動家、アメリカ人実業家、
三流のプロ野球選手とその彼女、パンパンガールたちまで、
実に多くの個性的な人物が登場します。

話がごちゃごちゃしそうだけど、
意外な人物とつながったり、かと思うとすれ違ったり。
獅子文六作品らしい、最初から最後まで一気に読ませる、
勢いのあるストーリー展開が魅力です。

こんだけ話がもつれるのに、
最後はきちんと着地するのだからすごい。

そして、時に見せる鋭い批評性にドキッとしてしまう。


当時の横浜は、まだグチャグチャで、
もちろん洒落た西洋料理の店もあったんだろうけど、
汚い中華料理屋さんや居酒屋もたくさんあったんだろうな。

私が上京したばかりの頃(2013年頃)、
横浜駅の西口に、たくさんプレハブ居酒屋が並んでたっけ。

怖くてとても入れなかったけど、
昼間にちらっと中を見たら、おかみさんがおでんを煮て、
お客さんが1杯やっていた(昼間だよ)。

怪しげでとても大人の雰囲気だったな。
今は全部撤去されてしまった。
ちょっとさびしい。

その記憶があるからこそ、
この『やっさもっさ』を楽しめたんだと思う。

馬車道や中華街など、
おなじみの街がたくさん出てくる。

今はレンガできれいな町並みだけど、
きっと横浜駅の西口にあったような、
バラックもあったんだろうな。

獅子文六が見た横浜は、
どこへ行ったのかなぁ。



なんてつらつら考えていると、
無性にシウマイが食べたくなってきた。
というのは、この作品にはシウマイ娘が登場するから。

私の出身地・北海道は、
それこそ美味しいものなら右に出る者はいないと言われていますが、
いかんせん、中華は弱いんだな。

ラーメンは強いけど、
横浜にあるような、「毎日でも食べられそうな中華」というのはない。

だから横浜に出てきたとき、
「これが本当の中華だったのか」と思った。
作品中でも、東京では中華料理は食べられない。
横浜に来ないと美味しい中華はない、とあった。
今は東京だって中華はすごいけど。

当時の横浜を追体験できたかな???



最後に嘉代婆さんのセリフをご紹介。


「女だってね、あたしの若い頃は、ご飯を炊き損なって、
おコゲでもこしらえると、一日フサギ込むようなのが、沢山いましたね」
「昔はそういう仕事が女の受け持ちでね。
そして自分の受け持ちということには、誰も、真剣だったもんですよ」



なにか失敗して落ち込むことがあるけれど、
「それって自分がそれだけ真剣だったんだな」と思うことにしよう。

周りが引くくらい落ち込む人がいて、
「あんなに落ち込まなくてもいいのに」と冷笑する人がいるけれど、
私は「それだけ真剣だったんでしょ」とさらに冷笑するね。
場合によっては「え?真剣になったことないの??」も追加だ。みてなさい。