ごきげんよう、えぞしまです。



2019年は十二国記最新作が刊行されるということで、
待ちに待ったこの日を迎えるために、
十二国記マラソンと称して十二国記を読み返しておりました。

そしていよいよ、
ずっと待ちに待っていた続編が刊行されました!!!
長かった…。



1巻&2巻のときは、史上最大級の台風直撃だったけど、今回は爽やかな秋晴れ。
朝早くから書店にでかけ、
(読書のお供になるようなお菓子を買いつつ)十二国記を手に入れたらとんぼ返りして、
お茶を淹れて、そのままお家で夜中までずーっと読んでいました。
他にもそういう人、いますか???


読んでいて絶望に次ぐ絶望で、
希望があったと思ったらまた潰えて、
本当に辛かったけど、読み終わってよかった。
『月の影影の海』は、ネズミが出てくるまで頑張ればいいけど、
この『白銀の墟玄の月』はそういうのがない。
とにかく最後まで読むしかない、という感じです。
最後の最後まで、気が抜けない。


まだこれから読むよ~って人は、
とにかく最後まで諦めないで!ということだけお伝えしておきます。
説明しづらいの…。


というわけで、
ここから先はネタバレ全開です。
思いのたけを綴っているので、ご容赦ください。














驍宗生きてた!生かされていた!

2巻ラストで、死亡したとされていた驍宗。
それはデマであることが判明します。
デマなのは腹が立つけど、よかったぁ~!

ところでどうやって生きていたかというと…。
鳥衡によって涵養山の竪穴に落とされたあと、
落盤が発生し、完全に閉じ込められてしまいます。

しかし、驍宗自身は(怪我はあるけど)潰されずに済んで、
骨折は力づくで治し(!)、竪穴を探索し、
水や燃料などをなんとか確保することができました。
宝重や剣が手元にあったのも幸運でした。

1巻&2巻で、弔いのためにカゴにお供え物を入れて川に流す、
轍囲の生き残りの親子が登場しました。

そのカゴは川に流されどこどこ行くの、
それは偶然にもするするするりと、驍宗が隠れていた竪穴に流れていました。
たくさんではないけれど、それで驍宗は食糧を得ることができたのです。

偶然かもしれませんが、
天意によって生かされていた、と感じるには十分な出来事です。

その後、竪穴に潜んでいた騶虞を捕らえることができ、
見事竪穴から脱出!
もうね、これだけでハリウッド決定ですよ。
驍宗様、あんた本物のヒーローだよ!!!!!


ところで驍宗をこんな目にあわせた鳥衡ですが、
最後は阿選に賓満を剥ぎ取られ、あっさり殺されてしまいました。
マジで最低のクズ野郎なので、当然ですね。




再会と絶望

反阿選側の、かつての知り合いが続々と登場してきます。
大変な世の中だけど、どうにか生き延び、再会を喜びます。

正頼もなんとか無事でしたね…って、無事ではないか。

また、最初は怪しさマックスだった宝石商の葆葉。
実は味方だったことが判明し、頼もしい援助を得ることができました。

朽桟はあとでピンチのところでかけつけて、
美味しいところを持っていくんじゃないかと思ってたんですが、
それをまさか李斎がやるとはね!
李斎ってそういう感じがしないので、逆に良かったな。

登場人物が次々と出てくるので混乱しますが、
安心してください、どうせ死にます!!!
朽桟が死んじゃったの、けっこうくるな~。

過去作から読み続けている往年の十二国記ファンにとっては、
飛燕の死はかなり痛いですね。
泰麒は心細いだろうから、ぜひとも再会してほしかったな。

この、退場ラッシュが4巻はかなり続きます。
せっかく驍宗と李斎が再会できたのに、
「えっ…まだ半分以上ページ残ってるけど…?」
「まだこのあと一波乱あるのか(実際は一波乱どころじゃない)」
ということが続きます。

こういったことに諦めずに、
ラストを信じて読むことが大事ですね。




死に至る病、それは次蟾(じせん)

読んでいるだけで疲れてくるほど、
めちゃくちゃになっている白圭宮。
その原因はなんと妖魔でした。

次蟾(じせん)は、鳩のような鳴き声を持つ妖魔で、
同じ空間にいると魂を吸い取るという厄介者。
しかも治癒方法はありません。

戴国に蔓延していた病、それはコイツの仕業でした。
妖魔を操れるのは麒麟だけ。
では一体だけがこんなことをしたのかというと、
これはどうも琅燦が絡んでいるらしい。

ものすごく博識の琅燦は、
阿選に次蟾のことを持ちかけたらしい。
しかしやはり妖魔をコントロールするのは大変で、
予想以上の効果が出てしまったようです。

新しく泰麒の護衛についた耶利(やり)が、
巧みな身のこなしと豊富な知識で、
次蟾のことを教えてくれます。
一体何者かと思いきや、耶利は黄朱の生まれでした。
どうりで妖魔に詳しい手練なわけだ。

そして、どうやら琅燦も黄朱の生まれらしいです。
博識で奔放に振る舞う、琅燦と耶利はたしかにどこか似ています。
目的がイマイチわかりませんでしたが、
単純に「こういう状況になったら天はどうなるのか知りたい」
と知的好奇心だけで動いているようです。
こういう人は頼もしいようで恐ろしいよね。
(でもこういうキャラクター、すき)




阿選仕事して

4巻の表紙を飾った阿選。
最初見たとき「誰やこの気だるいオッサンは」と思った

表紙になったにもかかわらず、
相変わらず全く仕事していません。

しかし、ここでようやく阿選の驍宗に対する思いが綴られます。

いつも一枚上手な驍宗。
今ひとつ遅れをとる阿選。

こちらはライバル視しているが、
周りはそう思っておらず、もしくは驍宗も、
阿選のことなんてなんとも思ってないのかもしれない。

こちらは友達と思っているのに、
相手はたくさんの顔見知りの一人でしかない、みたいな感じかなぁ。

そして昇山でも、遅れをとった阿選。

驍宗はなんにも悪いこと、してません。
でも、阿選にとっては鬱陶しい。
戴国を出ていく気もないし、とにかくどうにかしたい。

しかしだからって、ここまでしなくても…。

一度思いつめてしまうと、復帰が難しい…。


4巻の表紙、飾ったのになぁ。




泰麒の奸計

「天意が変わった」と言い張って、白圭宮に乗り込んだ泰麒。
それは奸計でした。

琅燦には見抜かれていましたが…。
(だから叩頭礼をさせなかったのね)

琅燦に見抜かれているということは、
当然阿選にも知られていて、
泰麒の立場は危うくなります。

少しずつ頼れる人を見極め、
身辺を固めていく泰麒でしたが、
それをあざ笑うかのように手を打つ阿選。


李斎たちのサイドでは人が次々死ぬし、
泰麒の方は策略でヒヤヒヤするし。
一個も落ち着かないよ、今回の十二国記!


しかし、そんなことではくじけません。
「普通の麒麟はしないこと」を次々とやってのけます。

正頼を助けるために、兵士を倒さなくてはいけない。
かつて自分がいた蓬莱、そこで起こった惨禍。
自分が渦の中心になって、積み上がっていく犠牲。
あのとき、寄り添ってくれた先生。
一緒につれてこれなかった、残してしまった。

多くの死体の上に立つ自分。目の前の状況に怯える自分。
このシーンはとてもいいと思いました。
この泰麒は、『魔性の子』を生き延びた泰麒なんです。
「先生」と呟くところ、かなりぐっと来ました。

ところで、
「……い……」と呟いたのは、何だったんでしょうか?
「い」で始まるもの、なんかあったかな~。

泰麒の番狂わせは、ラストシーンでも起こります。
「もうページこれしかないよ…驍宗しぬの?????」
と思っていたら、
まさか剣を使って大立ち回りとは!
(実際は耶利がやってるけど)


そして、実は角が治癒していることが判明します。
最後の最後で天変し、麒麟の姿を示す泰麒。
泰麒は黒麒で、それが一番のアイデンティティなんだけど、
同時に麒麟としてのアイデンティティを証明するのが難しくて、
それが物語の鍵になっていました。

それが最後の最後で出てくるなんて…。
ニクいね!ニクいよ演出が!!!!!


ちなみに私は、
「十二国記の名シーンは誰かが全裸になっていることが多い」説を唱えているのですが、
また一つ事例ができてしまいましたね…!




ちょっと待って最後の一文は何だ

驍宗も泰麒も戻り、
鬱陶しい張運もいないし、
ようやく平和が訪れた戴。

1巻の最初に登場した、園糸と栗ですが、
新天地でつつがなく暮らせているようです。

しかし、最後の一文が気になる…。
何だ、「じきに来る戦乱の予徴など欠片もなく」ってのは???

せっかく完結したのに、まだ一波乱あるのかな。

十二国記には私達のなじみのエピソードがたくさんあるけれど、
そんなのはほんの一部で、まだまだ歴史は続いていくんだよ…
っていう途方も無い時空の奥行きを感じますね。

最後に戴史乍書にて、
阿選も討たれることが判明しますが、
これのこと???

ていうかこんなボリュームの小説なのに、
戴国の公文書にはこんな簡単に書かれちゃうの???

いい公文書は余計なことは一切書いていないとは言うけどさ。
こんな壮大な物語も、十二国記の世界では歴史のほんの1ページに過ぎないのね。




今後の「十二国記」シリーズはどうなる?

さて、無事に一区切りついた十二国記ですが、
なんと2020年には、短篇集が刊行されることが決定!
十二国記マラソン、まだまだ続くよ~ッ。




帯についているQRコードから登録すると、
短編集の中から一つ、先行して読むことができるという粋な計らい。
ちなみにこのQRコードについては修正がありますので、
新潮社のサイトを確認してください。





『白銀の墟玄の月』刊行と同時期に出た、新潮社の雑誌『波』によると、
短編集は戴の話が中心になるそうです。

というのは、小野先生は作品を書くときに、
最初の状態からどんどん削っていくように書いていくそうで、
その削った部分を短編集としてまとめていくそうです。


IMG_3128


延の主従コンビは最後にちらっと出てきましたが、
陽子と楽俊といったおなじみの面々は出てこなかったので、
ちょっと寂しいきもち。


私は範の主従がけっこう好きなので、
ぜひ出てきてもらいたいのですが、
一方でこんな記述も。


IMG_3129



うーむ。
短編ならともかく、長編での範は無理かなぁ。


4巻のラストの一文がすごく気になるけど、
それが短編集でひろえる程度のことなのかってのも気になるし。
そうなると、また長編で戴ですか、となるし。

ただ私は戴って、他人事じゃないと思うんですよ。
政治はまあまあ上手いけど贅沢好きの王様が、
国内をめちゃくちゃにして、国土は荒廃しきっていて、
政権はグダグダで社会保障の欠片もなくて、
もう国は頼れないから自助するしかないんだけど、
そうしたら土匪がのさばって、土匪が好き勝手に治めてて……。

十二国記の世界と比べたら、
蓬莱に住む私達なんてみんな王侯貴族のような暮らしぶりだけど、
なんか笑えないんだよな。


とりあえず、今はまだ構想がないみたいだし、
今後の日本(あるいは世界)の状況によって、
物語も変わっていくんじゃないでしょうか。



2019年は、十二国記にとって記念すべき年となりました。
今後もお付き合いくだされば幸いです。



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