ごきげんよう、えぞしまです。

ついにこの日がやってきました。
十二国記の最新刊『白銀の墟 玄の月』、
第1巻と第2巻が発売となりました。



泰麒の凛々しいお姿…!!!
こんなに大きくなられて……!!!!!!!


戴の国民は6年待ったかもしれないけどさ。
こっちは倍以上待ったんだよ!!!!!!!


発売日当日は史上最大級の台風が直撃し、
電車もお店もみんなストップ、
今すぐにでも買いに行きたいのに行けない…と、
もどかしい思いをして過ごしていました。

無事翌日に手に入れることができ、
ほっとしています。



さて、
この十二国記最新巻ですが、
やはり既刊の作品を読んでから手にとっていただきたいです。

一応、本編中でも説明が入りますが、
やはり設定が入り組んだファンタジー小説ということもあり、
いきなりこれから読み始めると物語を楽しむよりも、
作品の世界観を理解するのに疲れてしまいます。


少なくとも、
『黄昏の岸 暁の天』は読んでからの方がいいですし、




できれば『風の海 迷宮の岸』と『魔性の子』もおさえてほしい。

このブログでは「十二国記マラソン」と称して、
最新刊発売に向けて十二国記を読み直すという記事を書きました。
ただの感想なのに何が面白いのか、
たくさんの方に読まれています。
ありがとうございます。


【十二国記マラソン関連記事】

【十二国記マラソン】上巻はかなりツライが小野不由美を信じて読み続けろ!『月の影 影の海』感想


【十二国記マラソン】泰麒の健気な姿にメロメロ…世間に馴染めない人が生きる希望を見つける『風の海 迷宮の岸』感想


【十二国記マラソン】憐れなインフルエンサーとその信者という構図が見ていてツライ…尚隆と延麒の邂逅『東の海神 西の滄海』


【十二国記マラソン】過酷な運命に抗い、成長する3人の娘たち…『風の万里 黎明の空』


【十二国記マラソン】十二国記界のプロジェクトX!使命に邁進する職人たちの物語『丕緒の鳥』


【十二国記マラソン】理想の国を目指して、苦悩しつつ前に進むしかない…読みごたえのある短編集『華胥の幽夢』感想


【十二国記マラソン】自分を救えるのは自分だけ…ビッグウェーブが来る前に必ず読んでおきたい『黄昏の岸 暁の天』


【十二国記マラソン】エピソード0、最初に読むか最後に読むか…『魔性の子』



それはさておき、
ここからはネタバレがたくさんあります。

品切れで買えなかった…とか、
まだ読んでない…という方はその点ご了承ください。




戴の状況は最悪!こんなの建て直せんの???
「最新巻嬉しいけど、ボリュームやばいな」
と思っているそこのあなた。

なぜこんなにボリュームがあるかというと、
戴のヤバさを丁寧に描写しているからです。

戴はとにかく寒くて、貧しくて、
食うもんなくて炭もなくて……。
というのは再三言われていたことですが、
その状況にピンとこない現代日本に住む私達のために、
戴の各地に視点を変えていきながら、
戴の状況を細かく伝えてくれます。

よく大規模災害のときに、
テレビで各地の被害状況を映すと思うのですが、
あれみたいな感じ。

そして、
そのカメラにおさめられている人々が伏線になっていて、
最後に集約されていくんじゃないかなぁ〜と思っています。

映画のスタッフロールで、
元気に畑仕事している様子が映る…みたいな。
あるいはもっとガッツリと、ストーリーに絡むかも。


と、呑気に予想してみるものの、
戴の状況は想像以上に最悪です。
こんな状況からどうやって建て直すの???
という感じ。

王が政を行えば、
妖魔はいなくなり田畑は実り、
玉泉が湧いて鉱山も潤うのかもしれませんが。
何年かかるんだろう?

いやいや、
呑気に考えているばあいではありません。
私にとっては、
戴って今の日本のような気がするから。

国が国の体を為していないので、
土匪(ごろつき)が跋扈し、町のしくみを取り仕切る。
よく「政府は小さくていい」とか、
「社会保障はいらない」とか、
「税金を払った人にだけサービスをする」とか、
そういった類のことを言う人がいますが、
それを実行した世界がまさに戴なんじゃないかと思います。

自分で自分のみを守る国。
それは美しい国ではなく、
混沌と暴力まみれのゴロツキ王国なのです。



白圭宮はやりがいのある職場です!

無事に驍宗を排除した阿選。
てっきり宮中でよろしくやっているかと思えば、
政をほったらかしているらしい。
その理由は全く不明です。


なんとか生き延びた官吏と兵卒でしたが、
今度は混沌とした現場が待ち受けていました。
これが完全に「滅びゆく組織にありがちなこと」で、
読んでるだけで胃が重くなってくる〜。


まず、
誰が何のためにこの指示を出したのかわからない。
目的も、指揮系統も不明瞭。

また、情報共有は一切なし。
「え、聞いてないけど…」があちこちで多発。
その度に一から説明して許可を取る。
普通なら10で済む労力が、100とか200とか必要になります。

そして、
人員配置がめちゃくちゃです。
なぜ配置が変わったのか、どういう基準なのか。
自分より働いていない人が役職につき、
やりがいを持って働く人がなぜか放って置かれる。
スキルはあるのに、不満が溜まる一方です。
行動する人が「でしゃばり」とされ、何もしない人が評価される、
ようこそ減点方式の世界へ。

役職に内定しているのに辞令がいつまでも出ない、
なんてことも起きているようです。

こんなところで働いているせいか、
官吏も兵卒も頭がどんどんボーッとしてくるようです。
まるで病んだように、目の焦点が合わなくなり、
仕事もダラダラとしているようです。

これについてはドラッグや妖術の可能性もありますが、
そんなファンタジーに頼らなくても、こんな環境病むよ!ほんとに。

十二国記は異世界ファンタジーですが、
その世界観はやたらにロジカルでシステマチックです。
そのせいか、この惨状が他人事に思えないんですよね。



阿選、燃え尽き症候群の疑いか

わざわざ王を倒し、
自ら仮王の位置についた阿選。

せっかくのポジションなのに、
何にもせず、引きこもっています。
周りの人たちは困惑するばかり。

その様子を周囲の人間は、
「燃え尽きたのでは?」と噂します。

王になること、驍宗を倒すことが目的だったため、
それが果たされて燃え尽きた…という話。

ひょっとしたら、
阿選にはビジョンとか戦略とかがないのかもしれませんね。
逆に驍宗にはあった。だから王になれた。

驍宗が独断的だったというのも、
ビジョンがしっかりしていたから。
こういうときは一々話し合いで決めるより、
担当者がある程度進めたほうがよい結果になります。
それを驍宗はわかっていたのかも。

阿選が何もしない理由として、琅燦の分析によると、
・麒麟や王を弑せば、天の摂理で次の麒麟や王が選ばれる
・逆にそういうことがなければ、新しい王は選ばれない
・天は戴の現状を良しとしてないが、天の摂理に背くのはもっと嫌だ
・何かきっかけがないと天は動かない

→つまりこのまま何もしなければ、現状維持できる!!!

ということではないかと。
燃え尽きた阿選にとってはぴったりの状況です。



無慈悲な慈悲の生き物

※「風の海 迷宮の岸」のネタバレがあります。


すっかり成長した泰麒。
第1巻の表紙を飾った彼からは、
「ぼくはできそこないの麒麟なんだぁ!」
と泣いていた頃が想像できないですね。

角を無くして、天変も出来なくて、使令も使えない。
麒麟としての奇蹟はありませんが性はあるようで、
薬や食べ物をなんとか施せないか、と言ったりします。

白圭宮に乗り込んだあとは、人が変わったよう。
10歳の頃のあどけない泰麒ではありません。
戴という国、民を救うことだけを考え、冷酷に動くような。

泰麒にとっては、
王ですらも民を救うための道具の一つなのかもしれません。


しかし琅燦は、
なんで阿選に泰麒を切らせたんだろう?

本当に阿選が王になったのなら、叩頭礼をさせてみればいいのでは?
何も切りつけなくても…。

「当たり前過ぎて、泰麒に言うの忘れてた」
というくらいだから、十二国記の世界では常識中の常識。
琅燦が知らなかったということもなさそう。

泰麒にとって、叩頭礼はかなり重要な事実だから、
ここに鍵があるような気がする。



ゴッドファーザー朽桟

鉱山で働く土匪を取り仕切る朽桟。
最初は李斎たちを捕らえるなど、悪人として登場しましたが、
かなりの重要なキャラクターになる予感。

何しろ腕っぷしが強いのはもちろん、
頭もものすごくキレる。

阿選なんかより、よっぽど働いています。


こういうキャラクターはね、
あとで美味しいところ持っていきますよ!

超ピンチのときに助けに来るとかさ。
もしくは影でいろいろ動いてて、
「いつのまにこんなに準備がされているんだ?
…はっ、これは朽桟の!!!!!」
みたいなのがありそう。
(これは予言です。)



驍宗って歌うの?

老安という村で匿われていた?驍宗。
少年・回生に剣の研ぎ方を教えながら、匿われていました。
いつか、剣技を教えると言いながら……。

しかし、体がもともと弱っていたのか、
それとも薬と称して毒を飲んだのか、
飲まされたのか自ら飲んだのかわかりませんが、
命を落としてしまいます。


本当に驍宗だったかは不明ですが、
遺された服装や装備品の破片、また白髪に赤い目という特徴といい、
どうやら驍宗らしい。

完全にニアミスしていたことを知り、
悔しがる静之。


また、泰麒が突然李斎のもとを離れ、
阿選のもとへ向かったタイミングとも一致しています。
(李斎たちは、阿選のもとへ向かったことは知りませんが)


ミスリードか、それとも……。


李斎たちの落胆は計り知れないですが、
同様に読者である私たちも、
泰麒と驍宗が再び相見え、
戴を建て直していくのだ、そうであって欲しいと願っていたので、
李斎たち同様に落胆してしまいますね。


ところで、
少年に介抱されていた驍宗ですが、
彼って歌とか歌うキャラだったんですね!?

歌わなそうじゃないですか?
鼻歌とか。
誰もいないところなら故郷の歌を口ずさむかもしれないけど、
人前で歌うっていうのが想像つかないな〜。


なんか驍宗さまって、
カラオケ連れて行ってもずっと遠慮してて、
マイクを勧めても「いや私は…」とか言って歌わなくて、
驍宗さまも歌ってくださいよォ〜」とか言われてようやく、
仕方ないので一曲だけ歌いそうな感じ。
(なにげめちゃうまい)


何がいいたいかと言うと、
驍宗死んじゃったのマジでショックすぎる。
ミスリードであってほしい。
めっちゃ驍宗っぽい別人であってほしい。
死んだとか信じないぞ!


このまま阿選が王になったら、
なんか溜飲が下がらないんだよ。
18年待ってこれかよ。
泰麒もしぶしぶしてるしさ。

もうね、
小野不由美を信じるしかないよ。



ミスリードかもしれないし、
18年待った読者に「これが現実」と見せてくるのかもしれないし、
あるいはもっとすごい展開が待ち受けているのかもしれないし。
読者をぐぐっと引き寄せて離さない。

やはり、小野不由美はすごい作家です。



さて私、
1巻と2巻は予約せずに入手することができました。

しかし、
3巻と4巻はさすがに予約しようと思っています。
1巻と2巻も品切れ続出、重版決定みたいなので。


みなさんも『白銀の墟 玄の月』を予約して、
確実に戴の未来を見届けよう!!!!!








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