ごきげんよう、えぞしまです。

わたくし、食べ物エッセイや食べ歩きものの話がものすごく好きなのですが、
またまたいい感じの本を読んでしまいました。




油控えめ、香辛料なし、
鶏がらと昆布出汁のやさしい中華。

本格派とはまた違う、
京都で独自の発展を遂げた「京風」中華。

京都の中華の特徴や変遷、
京都の人たちが中華を味わうときに感じていた、風味と旨み。
その背景などを丁寧に言語化しています。

読んでるだけで、美味しい!!!



京都の人って、気長!

ちなみに表紙に写っているはちみつ色の酢豚は、
上七軒にある糸仙さんのもの。
花街にある中華…ということで、
お肉も春巻きも舞妓さんが食べやすい一口ちいさめサイズ。
そして、余計なものはゴチャゴチャ入っていない、
ほぼお肉だけの引き算のお料理。


「こんな脂っこいの、食べられへん…」
「着物に匂いつくから、香辛料使わんといて」
「こんな太い春巻き、よう食べへん!」
京都で中華をやろうと思ったら、それは大変なことです。
しかし、お店の人はお客さんの好みや意見を聞いて、試行錯誤していきます。

お客さんはお客さんで、
文句言いつつまた来てくれる。
なぜかいうと、京都はせまいから、
「この店もう行かない!」なんてやっていると、
行くところがなくなってしまうから笑

だから、お客さんもお店の試行錯誤を見守ります。
京都の人って、気長だぁ。

「歯が悪いから、薄く切って…」
とお願いしてきたお客さんの顔を覚えておいて、
「この方には薄く切ってお出ししよう…」
なんて気遣いを見せるお店側。
そして、「ああ覚えててくれたんやな」と気づいて、
「わがまま言うたし、これでコーヒーでも飲んでや!」
とポチ袋に千円入れて置いていく。

京都の味って、
そうした街と店のやり取りが作り上げていったんだな~と思います。
一口食べて、判断できない味。

東京のグルメレポーターが一口、二口食べて、
「おいしい」「ぼやけてる」「いまいち」
なんてやるような料理じゃないんですね。
食べているうちにじわじわと味わって、
食べ終わったあとに「ああ、おいしかった」と結論が出る。
こういう中華、近所にほしいなぁ。


京都の中華の系譜

これは単なる「京都の中華グルメガイド」ではありません。
もちろん美味しそうなお店も紹介されていますが…。

京都に中華料理をもたらしたのは、
高華吉(こうかきち)さんという、大正時代の広東人。
「飛雲」「第一樓」「鳳舞」といった名店を次々と作り、
現在でも京都の中華にその系譜を遺しています。

現在は閉店してしまった「鳳舞」の、
古老肉(スブタ)や、炸裡脊肉(ブタテンプラ)、
中華なのに「カシワシイタケ」なんてメニューは、
懐かしく思う人も多いのでは?

京都の人の思い出に、
鳳舞の味と雰囲気があるって、うらやましいなぁ。


よその料理を自分流に食べこなす、
京都人の得意技はここにもあるんですね。


日本の子どもはそのうち飢える!?

文庫版にはなんと特別企画ということで、
著者と菊乃井の3代目村田吉弘氏との対談つきです。

和食の中でも、最も洗練されているであろう「京料理」を出す、
こってこての老舗料亭のご主人が、中華について語ります。
料理人なだけあって、視点がするどい。


そしてその中で、
日本料理がユネスコの文化遺産に登録された話になります。

村田氏は「日本の家庭料理を守りたい」とお考えで、
メディアでもよく発言されています。

それはなぜかというと、
「日本の子どもたち、将来は飢えるのでは?」という危機感があるからです。

日本の人口は減り、労働人口も減って、どんどん貧しくなっていきます。
方や、中国は経済発展し内陸部でもおいしいものを食べるようになる。
アフリカだって、そのころには人口も増えていることでしょう。

労働人口が減ったら、田畑をやる人もいません。
食料自給率が低い、食糧を買うお金もない。

だから、日本の農業を支援して、米食を取り戻す。
野菜や魚を食べる食文化に戻さないといけない、という話をされていました。

日本料理アカデミーでは、和食給食を提唱して、
和食を推進しています。
「外国味のものを食わすな」というよりは、
いつも外国風の味付けにはしないで…という感じ。
昨日はスープだったので今日は味噌汁にしようとか、
唐揚げを出すから、野菜炒めではなくおひたしにしてみようとか、
そういう感じです。

また、ごはんとミルクはおかしいから、
それは和食ではないからお茶にしてもらって、
ミルクは休み時間や放課後にして…なんてことも提唱しています。


京都のおいしいものの話が聞けると思っていたら、
こんな地球規模の壮大な話になってしまった。
しかし、これがなかなか面白い。
自分らにできることやってみよ、という、
ストイックだけど地道で真摯な感じがいいのです。


おばんざいもいいけど、中華もいいね

京都に行ったら、抹茶スイーツ。
湯豆腐に京野菜のおばんざい……。

そういった「ザ・京都」なお食事もいいですが、
次は京都の中華を味わいたい。

東京ではお目にかかれない、
卵の生地でたけのこをたっぷりくるんだ春巻きや、
親子丼のような風貌の鳳凰蛋(ホウオンタン)、
ツーンと来るカラシソバを食べてみたいものです。

お泊りはホテルシーキョウトかな。
そんな京都旅行も、いいな。