ごきげんよう、えぞしまです。


夏の読書計画は順調ですか?
私もさっそく1冊読み終わったところです。





今回は、
「十二国記」シリーズでおなじみの小野不由美作品、
『営繕かるかや怪異譚』を読んでみました。


営繕かるかや怪異譚 (角川文庫)
小野 不由美
KADOKAWA
2018-06-15



十二国記はものすごく好きで、
このブログでも記事を書いていますが、
実は他の小野不由美作品を読んだことがない私。

今年のカドフェスに選出されていますので、
ホラーは苦手ですが挑戦してみました。



6つのストーリーからなる本書。
どれも、親戚から受け継いだ古い家屋で起こります。

どの家も影があり、
きしみ、湿り気、淀みのようなものを抱えています。

でも、住人はそこから逃げられない。
事情は人それぞれなんだけど、
とにかくその家に住み続けるしかない。

そして、
逃げ場のない状況で、
少し不思議な現象が起こります。

最初は、
「あれ?」「なんか変?」程度だったのが、
少しずつ確信へと変わっていく。
そして、得体のしれない恐怖。
どれもじわじわと住人を追い詰めていきます。

突然「わっ」と脅かすハリウッドホラーではなく、
純和風の家屋にふさわしい?じわじわホラー。
そう、そうだよ。
日本の高温多湿の夏には、こういうホラーがぴったりなの。


やむにやまれぬ悩みを解決するのは、
営繕を営む尾端という男性。
建物を建て直したり、修繕するのが彼の本業ですが、
どうやらこういった怪奇現象に詳しいらしい。

なるべく安い工賃で、
住人の悩みを解決するリフォームプランを提案します。

それでどうにか、
怪奇現象に悩まされるということはなくなるのですが、
実は、完璧に解決することはないんです。

どの住人も、
その怪奇現象と共存していかなくちゃいけない。

「完全にどこかへ消え去った」
というエンディングは、一つもないのがまた怖い。
後味悪くて最高です。


どの話が一番怖かった?
というのは、話の種になりそうですね。
私は『異形のひと』が怖かったです。
他の作品は一人で立ち向かうか、
もしくは誰かと立ち向かうケースが多いのですが、
これは家族の中で孤立して立ち向かうというパターン。

自分だけが怪奇現象に気づいていていて、
家族に訴えるんだけど信じてもらえなくて、
むしろ自分が怪奇現象扱いになってしまう…という感じ。

一人で立ち向かう場合は、ある程度覚悟ができますが、
こういった孤立しているパターンはかなりキツイ気がする。
怪奇現象と、人間の恐怖が同時に来て、
かなり精神に来ますね。最高です。


ところで、
『雨の鈴』も結構こわかったな。
ただ、これはちょっと話が複雑で、
というか道の構造?がよくわからなくて、
恐怖にのめりこめなかった。
「あーはいはいとにかく変なのが来ちゃうのね。ってそれ怖~!」
みたいになっちゃう。
(いや本当に怖かったんだってば)

こういうのって、
あまり話を複雑にしすぎないほうがいいんだね…。



残暑厳しい夏の夜に、
じっとりと読んでほしい1冊でした。



小野不由美といえば十二国記!
当ブログで「十二国記マラソン」と称しまして、
シリーズを読み返すという記事を書きました。
あわせてお楽しみください。