ごきげんよう、えぞしまです。


絶対読みたいぞ、とずっと思っていた、
ボリス・ヴィアンの『うたかたの日々』をついに読みました。
めっちゃ良かったわ~。





私が読んだのは、光文社古典新訳文庫。
これ、注釈がそのページに載っているので、
わざわざ巻末と読んでいる箇所を往復しなくていい。
ストレス無く読めるので、
この本みたいな注釈多めの作品にはうってつけですね。


この本はいたるところでおすすめされていて、
「そんなにいいのか?」と思いつつ手にとって見たのですが、



大切なことは二つだけ。
どんな流儀であれ、きれいな女の子相手の恋愛。
そしてニューオーリンズの音楽、つまりデューク・エリントンの音楽。
ほかのものは消えていい。なぜなら醜いから。



という有名な冒頭部分にやられたのでした。
すごい、完敗だよ…名著決定!!!


この本、
平たく言うとラブストーリーなのですが、
小道具がきいている。
演奏するとカクテルを作るピアノや、
睡蓮が肺に咲く奇病など、
とても美しいんです。

主人公コランや、
奇病に冒されるクロエは、
「労働」というものをよく思っていなくて、
クロエは労働者を見て怖がるし、
コランは全然働かない。
クロエの治療費を稼ぐため一応働きますが、
なかなか身についていない感じです。

体のぬくもりを使って銃身を作る仕事とか、
黄金貯蔵庫を決まったとおりに巡回する仕事とか、
意味不明なことばかりやっています。
んで、そんなやりがいのない単純労働でも、
華麗にクビになるコラン。

妙にきれいなので気づきにくいですが、
「労働なんてこんなもんよ…」というような、
スノッブな空気が漂っています。
この空気感サイコー。


コランの友達シックは、
資産家じゃないので働かないといけないんですが、
こちらもイマイチ労働が嫌いらしい。
せっかく手に入れたお金も、
大好きな推しの作家の本やグッズにつぎ込んでしまいます。

お金がなかなか貯まらないので、
結婚も先延ばし。
婚約者も愛想がつきかけています。

しまいには、
推し作家を殺し書店を燃やし、
自分も税金を取りに来た役人に殺され、
説明をこうして書いているだけでも、
「なんだこの小説…」となってしまう超展開を繰り広げます。


どいつもこいつもクズばっかりなんだけど、
文体が美しいので読んでしまうんだよね。

けなしているようだけれど、
まさに浮かんでは消えゆくうたかたのような、
そんな退廃的な美しさが詰まっています。


コランやシックみたいな生き方はとてもできないけれど、
だからこそ作品で味わいたい。

クズだけどストイックなあなたにぴったりの小説です。