ごきげんよう、えぞしまです。



大人気ファンタジー『十二国記』シリーズの、
最新刊が2019年に刊行されるということで、
「十二国記マラソン」と称してシリーズを読み返すということをやっています。
ひとりで。


今回は、
『風の万里 黎明の空』で鼻っ柱の強いキャラを見せつけた、
供王・珠晶の物語『図南の翼』です。


ちなみに、
珠晶の前髪の輪っかについては、
誰もが一度は「どうやって結ってるの?」と思う、
十二国記七不思議の一つです(嘘)。








十二国記初心者は、
実はこの『図南の翼』から読み始めるとよい、と言われています。

十二国記の世界観が堪能でき、
さらに『月の影 影の海』のような、
初心者をふるい落とすような激鬱展開も少ないので、
安心して勧められる作品です。

なんと言っても、
珠晶のキャラクターがめちゃくちゃいいのだ。


とにかく勝ち気で、お嬢様育ち。
ものすごく賢くて、大人たちはみんな舌を巻く。

長年、王が不在で荒れ果てていく恭国を憂い、
「あたしが王になるっきゃないか!」と決意し、
若干12歳で蓬山に向かいます。


珠晶はとても賢くて、考え方も合理的。
非合理的なことをする大人たちに向かって、
「なんで?」をぶつけます。

いますよね、こういう人。
賢い子どものまま育って、大人になってしまった人。
めちゃくちゃ合理的な考え方をするのだけれど、
その背後にある非合理の裏がわからない人。

「非合理の理由がわからない」って、
大人だとかなり嫌がられますが、
珠晶はやはり子どもなので、がんがんにぶつけていく。

それを、
周りの大人達は受け止めたり、説明したり、
ときには突き放したりしていきます。


それは、
蓬山が珠晶を試しているかのようです。


珠晶が行く先々で、
偶然とも思える数々の幸運が起こります。
まるで、珠晶が王になるのは必然であるかのように。

でも本当は、
珠晶が王にふさわしいかどうか、
あれこれテストしていたようにも見えます。


他人を犠牲にして自分を助けるやり方に、
最初は反発していた珠晶ですが、
その不条理に自分なりに答えを見つけます。

自分がもし王になったら、
玉座を背負わなくちゃいけない。
その玉座は、きっと無血ではいられない。

珠晶は玉座の重さを、
旅を通して知ることになります。


そして、
国をどうしたいのか、
みんなにどんな風に暮らしてほしいのか、
王になってからのビジョンが浮かんできます。



格子のはまった窓のある家に住み、
警備の者を侍らせて、ぬくぬくと暮らしていた父。

その周りには、
身分証明書を割り、給金ももらえず、
一生家に仕えて働く人達がいます。

豪商の父のもとで、
それはそれは贅沢に大切に育てられた珠晶。
自分と違う立場の人をたくさん見てきて、
そして自分が置かれている環境を思って、
家を飛び出してきたのです。


そりゃ、
高級ニート生活で遊び暮らしていた祥瓊のことが、
嫌いになるよねぇ…。



今の状況を憂いて、
嘆いていても仕方がない。
それなら自分にできることをやるしかない。

その決意と、実行力が、
珠晶独自の知恵と強運もあって、
周りを巻き込み、物語が突き進んでいく。


このダイナミックな流れが、
『図南の翼』の魅力です。



あとね、
ラストがうまい(笑)


『月の影 影の海』もそうなんだけど、
オチの付け方がいいんです。


特に、この『図南の翼』のラストはとてもいい。
それに追加されている利広のエピソードもちょうどいい。
ものすごいこってりしたロードノベルのあとに、
清涼感が流れていくって感じ。


そういうわけで、
十二国記、読んでみたいけどどこから読めばいいの?って人は、
『図南の翼』がオススメです。



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