ごきげんよう、独自でお嬢様について研究しているえぞしまです。



やはり、お嬢様が出てくる物語は、
とても気高くで上品なので、読んでいて気分がよろしいですね。


というわけで、
神保町ブックフェスティバル2018にて入手した、
ゆまに書房の吉屋信子少女小説選シリーズから、
こちらをご紹介~。







これ、もしかしたら絶版かもしれない。
もし気になった場合は、図書館などでも探してみてくださいね。




今回は三姉妹の物語。
長女の幾代は穏やかで優しく、いわゆる大和撫子。
例えれば、白百合のような美しさ。

次女のみどりは勝ち気で賢く、勉学の道を志すモダンな少女。
まるで黃薔薇のような気高さ。

末っ子の幸子は甘ったれだけど、誰とでも仲良くなれる。
それは、紅椿のような愛らしさ。


三姉妹の父は学者で、優しい母と女中・きよと、
何一つ不自由することなく、幸せいっぱいで暮らしています。


毎年、父の誕生日には親しい人をお招きして、
手作りのお料理でおもてなし。
とても文化的なお宅です。



ところが、
その幸せいっぱいの家庭に、
突然の悲劇が訪れます。



一家を支え、三姉妹にいつも優しかった父が、
出先で病死してしまうのです。


裕福な暮らしも、これでピリオド。
三姉妹は母とともに、つましい暮らしを余儀なくされます。


これからのこともあるため、
父の姉である小母様を頼るのですが、
この小母様が今回のヒール役。

実業家と結婚したので、とにかくお金持ち!
いつも豪華な着物に帯留め、ばっちり着飾っています。

とにかくイヤミが止まらない小母さん…。
お金はあるけど寂しさは埋められないのか、
なんでこうも意地悪なんでしょう…。





麗しき三姉妹は悲劇を乗り越え、
幸せを掴むことができるんでしょうか…。




吉屋信子って、
末っ子を天使みたいに描くんですよね。
無邪気で愛らしい。

今回の天使役は末っ子の幸子。
おしゃまでモダンな少女ですが、
その可愛らしさに小母さんも心が溶けていきます。


小母さんの心が少しずつ暖まっていく過程が、
この作品の見所です。

幸子とのお出かけシーンなんかは、
「あ、小母さんもかわいいところあるのね」と思いました。


「幸子さんのおかげで私も何年ぶりかで活動写真を見るんだよ」
と言ったり、
その活動写真(今で言う「映画」です)を見て感動して泣いたり。


いつの間にかすっかり仲良くなって、
「さあちゃん」と呼んでいたり。


むやみやたらと意地悪ではないヒール役ってわけです。
そこが魅力。




小母さんは三姉妹のことを「財産がない」と、
しきりに悪口心配をするのですが。


末っ子の幸子が言うには、
新居は「たった四間のお部屋よりありません」だって。



東京で4部屋もあるって…
しかも女中部屋もあるし…
ていうかなんだかんだで女中(きよ)もいるし…


つましい暮らしぶりと言っても、
なかなかに優雅な気がするのですが…。


それに、財産がないはずなのに、
暮らしぶりにあまり悲壮感がないんですよね。
きちんと学校にも通えているし。

当時の上流階級の女性は、
働くことを良しとしなかったので、
「女性なのに働かなきゃいけない」ってのがもう、
マイナスポイントなのかもしれませんが。


ちゃんと部屋もあるし女中部屋も女中もいるけれど、
「たった4間のお部屋よりありません」と言っちゃう感覚に、
「お嬢様」を感じてグッと来てしまいますね!!!!!




かつての庶民派少女たちも、
文化的な(ただお金があるというだけじゃない)お嬢様の生活ぶりや、
それが一変しても品位を保ちながら暮らしているところに、
グッと来ていたのかしら。


当時の少女たちに想いを馳せながら読み終わりました。

みなさんも古書店などで見かけたらぜひ。
本との出会いは一期一会です。