ごきげんよう、おうし座のえぞしまです。



しいたけ占いによると、
おうし座はレトロなものに触れると自分を回復することができるそうです。
確かに私、レトロなものが好きだわ~。

というわけで、
少し疲れているときは、レトロな文学を読むに限ります。


バナナ (ちくま文庫)
獅子 文六
筑摩書房
2017-08-07


お金持ちの台湾華僑の息子、龍馬は車が欲しい大学生、そのガールフレンド、サキ子はシャンソン歌手としてデビューしたいが、青果仲買人の父の許しが得られない。そんな二人の夢を叶えるのはバナナ?ひょんなことからバナナの輸入で金儲けをすることになったのだが、そこへ周囲の思惑が絡み、物語は意外な方向へ!テンポの良い展開に目が離せないドタバタ青春物語。


というわけで、獅子文六ですっ。

獅子文六作品は、昨年からじわじわとハマり始めて、
いよいよこれが私にとって5作品目。

当時の風俗が描かれていて、時代を感じることもあるけれど、
人間模様は現代のドラマと通づるところがあって、全然古びない。


この『バナナ』もそうです。


登場人物がたくさん出てくるんだけど、
どの人も個性的だし、それぞれのストーリーが立っているから、
読んでいて混乱しないんです。


作中、バナナの熟れ具合を説明するくだりが出てきます。
見た目は青いまま、中身だけ売れてしまった、とかね。
作中ではそれを女の子に例えてましたが…。

なんとなく、
一皮むけばみんなどこか欲望を抱えている、
というメッセージにも感じます。


龍馬のお母さんは、
獅子文六作品には欠かせない、「良いお宅の奥さま」。
お上品で、気位が高くて、でもどこか抜けている。
世間でも家庭でも穏やかな人だけど、
ちょっとしたアヴァンチュールをやらかします。

龍馬のお父さんは、
美味しいものに目がない食道楽でのんびり屋。
美味しいものを食べさせておけばいいかというと、
これはまたこれで秘密があったり。

龍馬のガールフレンドも、
その親父さんも、
みんなそれぞれに人間らしい欲望をもっています。

もちろん、龍馬も。


でもドロドロは全然していなくて、
妙にポップに収まっているのがいいんですよね。
安心して読めます(笑)



何だか最後は物足りなくて、
もっと続きが読みたいなぁと思わせるラストだったけど、
これは食道楽にちなんで、
腹八分ぐらいで終わらせておきなさい、という粋な計らいかも。


初めて読む獅子文六作品としてもオススメです。