ごきげんよう、道産子のえぞしまです。



私はいま、北海道でこの記事を書いています。


旅先で記事を書くなんて、
なんだか文化的で良うございますでしょ???


と、なぜか気取った奥様ことばが出てしまいましたが、
今回ご紹介するのはこれです。


主人公の夏子は、こうと決めたら絶対に曲げない性格。


ほうれん草を食べないと決めたら貫く。
赤い服を着ないと決めたらやり通す。


だから、夏子が突然函館の修道院に入ると決めたなら、
それは誰にも止められない。


函館の女子修道院…というと、トラピスチヌ修道院かな?
とても戒律の厳しいところなので、一度入ったら家族にもほとんど会えません。

ましてや、夏子は東京の人なので、
遠い函館なんて、なかなか。


もう修道院に入ってしまったら、
家族にとっては夏子がいなくなるようなものです。


そんなわけで、
まるで人生の終わりのような、
一家の一大事のような、
人生で一度あるかないかくらいの絶望ムードの中、
ものすごく重い空気をものともせず、
夏子はるんるんと家族とともに函館に向かいます。



本人はこうだと決めたら、
その通りになるわけだから、
(それは周りの人がそうしてくれている)
もう修道院に入る気マンマン。

この行動がすごくお嬢様っぽい。
こうしよう、と思ったら当然そのようになる。
それが普通だと思っている。

思い通りにならなくても、何とかなる。
なんだかんだで、結局お嬢様の思った通りになる。


普通は、思い通りにならない経験をたくさんするので、
こうと決めたらやり抜く、というのはなかなか実行できないものなんですよね。


生粋のお嬢様育ちの夏子だからこそ実行できる、ワガママでお転婆かつ痛快なポリシーです。



そんな夏子が、決意を変える出来事が起こります。
それは、恋!!!

恋なんて単純なことで、ころりと変わってしまう。
そこがまた乙女らしいのですが、相手が暗い思い出の影と熱い誓いを持った男ですからね〜。
惚れるのは仕方ない。

その男性というのが、
恋人を襲った羆(ひぐま)を斃すため、
北海道にやってきたという逞ましい青年。

とても爽やか。
しかし、ミステリアスな影もある…。

いやーこれはモテますわ笑
おモテになりますわ笑笑



それで、その冒険に夏子も一緒に行く!となるわけです。
当然危ないので、あらゆる人が制止します。
するとこれまた当然、夏子は制止なんか意味ないので、新たな決意を固めるわけです。


これに付き合う周りの大人たちもすごいよ…。


夏子のお見送りについてきた、
マダム3人組がとてもいいんですよね。

夏子の冒険に振り回されて、
遠く北海道までやってきているわけですが、
この人たちもお上品ながら、相手を圧倒してくるんですよね。


え、なに?
これが本当のお嬢様そだちなの?????

夏子ほどの人はあまりいないとしても、
お嬢様ってこんな独特の雰囲気なの?って思います。

著者は三島由紀夫なんですが、
彼もいいとこのお育ちだし、周りにはお嬢様育ちの人なんて珍しくもなかったろうから、
そういった人たちをつぶさに観察したからこその描写なんだろうと思います。

ガチでリアルってわけですよ笑



夏子も、羆退治なんてめちゃくちゃ危ないことなのに、
いつも思い通りになると無意識に思っているから、どことなく呑気。


冒険というにはお膳立てだらけのような、
しかし夏子にとっては一生忘れられない冒険になるわけです。




あ、ネタバレになっちゃうけど、
夏子は羆にやられて死んだりしません。
基本的に死なないので、そこは安心して読めます。

三島由紀夫というだけで身構えてしまうけど、
あれ?こんなライトなものも書けるのね〜と意外な発見でした。


あと、ラストが実にいいんですよね笑
まぁ、これは作品を読んでもらいませう。