ごきげんよう、えぞしまです。


池波正太郎に続き、
江戸時代や東京下町の暮らしに触れられる一冊を紹介します。


内容(「BOOK」データベースより)

豊かな四季を持つ日本で、かつてわたしたちは時節ごとに旬や気候を取り入れた行事を楽しんできた。初詣の前にする「除夜詣」、煤払いの後で参加者の一番若い者を胴上げするしきたりなど、多くは忘れ去られてしまった行事を学びなおすことで、日々の暮らしがもっと生き生きと豊かなものになり、四季を身近に感じることができるようになるだろう。本書では元旦から大晦日まで、日本人の中に根付いていた行事、しきたり、衣食住等を豊富なエピソードとともに紹介する。


著者は荒井修さん。
浅草にある扇子屋、文扇堂の4代目。
れっきとした職人です。

贔屓のお客さんは歌舞伎役者、噺家、芸者衆、舞踊の先生のような、
センスが良くて目が肥えていて、いいものをたくさん知っている方々ばかり。


荒井さん本人も、浅草で生まれ育ち、大人たちの会話を聞いていたので粋だの野暮だの、知り尽くした生意気な子どもだったみたいです笑




そんな荒井さんが語るのは、かつての東京下町の風景。
季節に合わせて、年間の行事を楽しむ。
スケジュールを把握していると、大人から褒められるので、ますます季節の移ろいには敏感になる。

池波正太郎も書いてましたが、
下町の子どもってのは、大人のマネをしたがるものなんです。


決して、「昔はこんなことして過ごして豊かだった。今はダメ」という話ではないです。
江戸っ子は明るく軽やか。嫌味なんかなくて、昔はこんなことしてたんだよね、と昔話を聞いているよう。

昔はこうしてた、今もこうしなきゃ、というのもない。
押し付けがましくないんです。
着物だって荒井さんにもこだわりはたくさんあるだろうけど、「もっと自由に着たらいい」と言っています。

いい加減なんじゃなくて、実際に着物を普段から着ている人の、本当の意見です。


単なる「昔は良かったんだけどね」にならないのは、この語り口のせいか荒井さんのお人柄のせいなのか…。
読んでいて、気持ちのよい文章です。



荒井さんは2016年に亡くなられました。
早すぎる…。
もっと、東京下町の風景や、粋ってもんを教わりたかったなぁ〜。

荒井修氏死去 荒井文扇堂4代目店主



季節を感じて、それを楽しむ心意気。
現代ではなかなか実現できないものですが、一つや二つ取り入れてみてもいいんじゃないでしょうか。